スタイリスト

十川ヒロコ

Hiroko Sogawa

1984年フリースタイリストとして独立。1988年、㈲ディス設立。広告を中心に、コンサートや舞台の衣裳デザイン、雑誌、映画と幅広い世界で活動中。2004年オリジナルブランド「hy-a-cinth」のショップをハワイにオープン。

ファッション大好き少女の天職

 「子どもの頃から、とにかくファッションが大好き。自分の着る服はもちろん、友達の着る服にまで、頼まれてなくても(笑)、アドバイスしてましたね」と語るのは、スタイリストの十川ヒロコさん。中学生時代、スリムジーンズが流行った時には、8色くらい揃えて着回したりしていたという十川さんにとって、スタイリストは、まさに天職といえそうだ。
 スタイリストを目指して専門学校を卒業後、アシスタントを1年間経験。その後、スタイリストオフィスに1年間所属し、フリーとしての仕事のやり方を学び、1988年には、㈲ディスを設立した。
 当時は「JJ」「MORE」などのファッション誌が大人気の時代。十川さんも独立当初は、それらの雑誌を中心に仕事をしていた。
 「ひとつ、いい仕事ができると、そのチームのカメラマン、タレントさん、ヘアメイクさんなど、それぞれの方から次の仕事へと広がっていきました。人との出会いには、とても恵まれていたと思います」。
 めぐりあった女優さんたちがやがてCM出演するようになると、十川さんもCMの仕事が増えていった。
 「CMは、スポンサーさん、監督さん、タレントさん、それぞれの立場からの意向があるので、そこが難しいですね。なかでも監督の感性を、いかに同じ感覚で受け止めるか。言葉で語られるイメージから、求めているものにいかに近づけて形にするかが大切だと思います」。
 15秒という限られた時間の中でも、ちょっと頭に残るスタイリング、求められているものにプラスアルファを加えて「それ、いいね!」と言ってもらえるような提案をしていきたいという十川さん。しかし、決して自分の仕事が目立つのではなく、服を着た人が、自分で選んだ服を着ているように自信を持ってカメラの前に立てる、精神的にノレるスタイリングを、一番大事にしている。
 白いシャツ1枚でも、渋谷・原宿・青山・銀座と、考え付く限りショップを回る。納得するまで探してみなければ、気がすまない。
 こんな十川さんの仕事ぶりがあるからだろう、「“え、こんなの着せちゃうの!?”というこちらの不安を軽やかに裏切るチャレンジングな意外性。それが十川さんクオリティ」(CMディレクター 高村剛氏)。「こんなに独創的で、こんなに仕事が正確で、こんなに人あたりがよくて、そんでもってこんなに美人なスタイリストさんが他にいたら教えて下さい!!!」(ビーコン コミュニケーションズ CD 佐藤秀一氏)と、CMクリエイターは絶賛する。
 そんな十川さんが、全く未知の世界へのチャレンジだった、と語るのが、舞台の衣裳デザインの仕事。2001年の「フットルース」をきっかけに、現在では、ブロードウェイやロンドンのミュージカル作品の衣裳デザインも手掛ける。

舞台の仕事で世界へ飛躍

 「今までやってきたこととは、何もかもが違う世界。最初は、何もわからない、できないでコンプレックスの固まりになりました。でもそこでやめたくなかった。舞台衣裳の色、素材、美術や照明との関係などがわかるまではがんばりたい。幕が上がった時の感動は、何ものにもかえがたいものがあるんです」。
 「フットルース」をはじめ、コンサート、ミュージカル、芝居で十川さんと一緒に仕事をしているプロデューサーの三瓶雅史さん(ドラマチックデパートメント)は、「舞台衣裳デザイナーにはない、色彩感覚、発想、新鮮なコーディネイトをいつも期待してデザインをお願いしています」と語る。
 舞台の仕事を始めたことで、自分の考えたデザインが形になる喜びや、チームワークの大切さを改めて感じたという十川さん。自らのブランド作りという新たな夢へ向けて、次の一歩を踏み出しているという。

(コマーシャル・フォト 2007年06月号掲載)

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