造形・映像企画制作

パンタグラフ

PANTOGRAPH

1998年、スタジオ・ビッグアートとして横浜市で活動をスタート。広告美術、グラフィック制作、アニメーション制作の他、アートイベントの企画や共同アトリエの運営なども行なう。2007年、建物のリニューアルに伴い、名称をパンタグラフに変更。http://www.pangra.net

 広告、雑誌、CDジャケットのためのイメージビジュアルの企画制作からアニメーションムービー制作、アートイベントの企画制作まで、幅広い分野で活躍中のパンタグラフ。井上仁行さん(写真右)と吉竹伸介(写真左)さんの二人組みだ。

個人制作のためのアトリエから

 筑波大学の同窓生である2人。在学中は、先輩である「明和電機」の創作活動を手伝ったりしながら、総合造形を学んでいた。卒業後、一度はそれぞれ別の道に進んでいた。
 「大学を卒業してしまうと、創作活動をしたくても、“ものづくりの場”がない。そこで、最初はあくまで個人的な制作の場として、友人と共同でアトリエを作ったのです」。
 そこに突然、仕事の依頼が来た。明和電機の作品の写真を撮影していたカメラマンが、アトリエの設立を知って、あちこちに声をかけてくれていたのだ。
 「広告美術の仕事の依頼が、何本か続けてきたんです。しばらくは本業と二束のワラジでやっていたのですが、だんだんそれも難しくなってきて、思い切って仕事を辞めたんです。すると、とたんにパッタリ仕事が来なくなってしまった(笑)」。
 そこで、今までの仕事や作品を集めた小冊子を作り、2人で営業に回った。広告美術や立体イラスト、おもちゃの原型製作など、少しずつ仕事の幅を広げていった。
 「仕事を始めた当初は、仕事の8〜9割が、広告美術の仕事でした。ぼくたち2人は、いわゆる美術製作の勉強をしたことがないので、すべて独学。自分たちが制作したものが、ライティングして撮影するとどう見えるのか、といったことも、すべて現場で学びました」。
 広告美術の場合、ラフスケッチまでしっかり出来上がっている仕事がほとんど。そこから最終的なビジュアルのイメージを汲み取った上で、いかにラフに描かれているイメージを具体的な形に仕上げていくのか。毎回、研究と実験から始めた。それを繰り返すことによって、自分たちなりのノウハウが蓄積された。
 雑誌連載「勝手に広告」で一緒に仕事をしたという、東京芸術大学教授(映像研究科)の佐藤雅彦氏は2人について、「納得いくプロセス、高い完成度。それだけで貴重なのに、私が嬉しいのは、井上・ヨシタケと話していると創造への意欲と希望とが正しく湧いてくることである」と語る。

互いの個性を生かして

 最近は、仕事の内容にも変化が出てきた。「こんなものを作ってもらえませんか?」という依頼よりも、何を作るのか、そのアイデアから考えてほしいという仕事が増えてきた。
 「雑誌の表紙ビジュアルなどは、その典型です。特集のテーマを聞いて、そこからアイデアを考え始めます。作るより考えている時間が長いですね。いいアイデアが出れば、8割がたは完成。あとは、“インパクト”“シンプルさ”“制作期間”などのバランスをいかにうまくとりながら、実現するかです」。
 長年一緒に仕事をしている井上さんと吉竹さんだが、お互いの得意分野は微妙に違うのだという。ロボットやメカなどのリアルな表現は井上さん。人間や動物をデフォルメしてキャラクター化するのは、吉竹さん。
異なる個性のコンビネーションで、仕事の守備範囲も広くなっている。
 「明和電機」の土佐信道さんは、
「イノウエ君とヨシタケ君は『夫婦のそば屋』のようだ。お互い無口だけど、作業が“はやい”し、仕上げが“うまい”。僕は大学時代から、彼らを知っているが決してデキてはいない。でも、夫婦のようなコンビネーションで、すばらしい広告美術を作る。出前をとるなら、ここですよ。ここ」と2人を評する。
 「CGを使えばなんでも作れる時代だからこそ、実際に立体で作った面白さを感じさせるような仕事を、これからも続けていきたいです」。

(コマーシャル・フォト 2007年07月号掲載)

The Profesional トップへもどる »