スタイリスト

リン・リェン・リー

Lim Lean Lee

文化服装学院卒業後、TSUMORI CHISATO、 ISSEY MIYAKEのデザイナーを経て、フリーのスタイリストとして幅広く活動中。スタイリングのみならず、洋服、小物の制作にも定評がある。http://www.stijl.co.jp/

「ファッションデザイナーになりたい」「有名デザイナーと一緒に仕事がしたい」。そんな夢を描いて、日本に留学。その後、彼女はファッション業界を経て、スタイリストになる。現在、広告で活躍中のリン・リェン・リーさんだ。

ファッション界からの転身

「留学する時、パリに行こうか東京にしようか迷ったんですが、日本の文化に魅かれて、中でも和服が大好きだったので、日本への留学を決めて、文化服装学院に入学しました。でも、実際は勉強に追われて、とても日本文化に触れている余裕などありませんでしたが」。
 卒業後はファッション業界に就職。イッセイ・ミヤケではファッションデザインの精神を、TSUMORI CHISATOでは「かわいらしさ」をモードとして形にする楽しさを学んだ。この時の得がたい経験の数々が、現在の仕事への興味を導くことに。
 洋服だけでなく、帽子やアクセサリーなどの小物作りも得意なリンさん。そんな小物作りが、スタイリストの道を進むきっかけとなった。資生堂のカレンダーの撮影のために、帽子の制作を依頼されたのだ。
「このカレンダーで、写真家の横須賀功光さんと一緒にお仕事ができたことが、とても大きな転機になりました。商品ではないけれど、実際に身につける人のことを考えながら、1点1点制作できる。しかも、撮影されて後に残るし、カレンダーなら毎月見てもらえる。スタイリストって面白い仕事だと思いました」。
 その後も同様の仕事の依頼が来るようになり、スタイリストとして独立することになる。最初はグラフィック広告が中心だったが、現在はCMの仕事が多い。9割以上が、ディレクターからの依頼だ。

絵コンテからイメージを広げる

「CMの仕事を通して、今までとはまったく別の世界を見ることができました。美術・照明・音声など、それぞれの分野のプロフェッショナルの方々とチームで仕事をすると、とても刺激を受けます」。
 CMディレクターの吉田善子さんは「リンさんは衣装を集めたり作ったりするセンスはもちろんですが、その人がそのシーンでどんなことを考えて、どういうふうに動くか、ということを、本当に理解した上で細かくスタイリングしてくださるのです。そして何よりも、仕上がるものが“おもしろい”ということがリンさんの素晴らしいところだと思います」と語る。
 撮影で使う衣装を、リンさんが最初から作る仕事は、全体の半分くらいだ。
「まず、その会社や商品のイメージから考え始めて、絵コンテを見ていると、頭の中で勝手に映像が動き出して衣装のイメージが湧いてきます。私は洋服作りからこの世界に入っているので、やはり洋服として機能するものを作ることを一番大切にしたい。ドレープの美しさ、動いた時の布の落ち方にもこだわりたいので、生地選びからスタートします。
 自分で作る場合でも、既製のものをセレクトする場合でも、何かしら見た人に印象を残したい。商品を覚えてもらって、売れてほしいですから。監督さんと同じ気持ちになって仕事をしています」。
 写真家の坂田栄一郎さんは、十数年前に初めて会った第一印象から、リンさんに、クリエイターとしてのセンスの良さを感じたという。
「高い美意識を持ち、衣食住すべてにおいて、ゆるぎない信念を持って生きている人。仕事のコンセプトを理解した上で、いつも想像以上のものを用意してくれるので、安心して仕事をまかせられます。日本だけではもったいない。海外でも仕事のできる人だと思います」。
 中国など海外の仕事や、映画にも挑戦してみたいというリンさん。新たなステージでの活躍が楽しみだ。

(コマーシャル・フォト 2007年08月号掲載)

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