ペットモデルプロデューサー

小谷ゆみこ

Yumiko Kotani

大学卒業後、トリマー、ブリーダー、ペット貿易を経て、現在に至る。取り扱う動物の種類は、危険動物や超大型動物以外は全て。CM・ドラマ・映画・雑誌・イベントなど多方面で活躍中。http://www.petmodel.jp

家庭のペットをモデルに

「beauty」(美女)「baby」(赤ちゃん)「beast」(動物)といえば、広告業界なら知らない人はいない「3B」。中でも動物もののCMは、これまでにもヒット作が数多い。
 小谷ゆみ子さんは、今から11年前に人間のモデルエージェンシーと同じように全国の家庭で飼われているペットをモデルとして登録し、あらゆる媒体に出演させるという新しいビジネススタイルを確立した「日本ペットモデル協会」のプロデューサーだ。
「日本ペットモデル協会」では、年に1回、全国からペットモデルを募集する。登録は無料。現在登録されているペットの7割が犬、2割が猫、残りの1割が鳥などの小動物。あくまで家庭でペットとして飼われている動物が対象だ。
「登録の審査基準は、能力ではありません。撮影の内容はCM、映画、ドラマ、ミュージックビデオ、バラエティ番組からポスター撮影、イベントまで幅広く、それぞれの仕事内容に合わせてキャスティングするので、個性を持ったペットを求めています。最も大切なのは、“うちの可愛いペットを、ぜひみんなに見てほしい”という、飼い主さんの強い気持ちです」。
 動物プロダクションと違って直接飼育していないので、コストは抑えられる。それぞれの家庭で可愛がられているペットたちなので、手入れも行き届いている。全国にネットワークがあり、撮影現場の近くからキャスティングできるのもメリットだ。

ペットに負担のない撮影を

 実際の仕事では、内容や撮影場所に合わせてキャスティング。難しい演技をする場合には、オーディションを行ない、本番日までにトレーニングをする。撮影当日は、演技がスムーズにいくように、まずはペットモデルを現場の雰囲気に慣れさせる事が大事。カメラに入らず、しかもペットと目線を合わせられる立ち位置を確保。声を出せない撮影では、手話で指示を出すこともある。
 その日のペットモデルがどんな個性を持っているのか、体調はどうかなどは、会って見るとだいたいわかるという。
「企画によっては、数ヵ月前からトレーニングをします。その場合もペットの生活環境は変えないように、飼い主さんとコミュニケーションを取りながら、各家庭で行ないます。撮影現場でも、ペットモデルに負担を与えないことが撮影をスムーズに進めることになるので、リラックスさせることを含め、必ず飼い主さんにも同行してもらいます」。
 CMディレクターの神谷佳成氏は、
「動物たちのことがよくわかっているので、こちらのオーダーに対してネットワークを駆使して適性のあるペットを連れてきてくれる。できることとできないことも言ってくれるので、仕事がやりやすいですね」と語る。
 また、同じくCMディレクターの宇恵和昭氏は、「動物の扱い方はもちろんのこと、周囲の環境のことにも気を配ってくれる。とてもチャーミングな人で、いつも笑顔で楽しそうに仕事をしてくれるので、現場の大変さを忘れさせてくれます」と語る。

変化する人間とペットの関係

 少子・高齢化の時代。ペットは家族の一員であり、友達であり、人生のパートナー。CMを始めとした映像の中でも、人間とより密接な関係のペットたちの姿を描くようになってくると、その演出に応えられるペットモデルが求められる。
「今は、テレビを見ている人たちの目が肥えてきていますから、ペットたちに無理な演技をさせると、その表情からすぐにわかってしまいます。現場では楽しく撮影できるように、私たちスタッフが動くことが大切」という小谷さん。今後もまだまだ全国に眠っているはずのペットモデルの原石たちとめぐり会って、その魅力を引き出していきたいという。

(コマーシャル・フォト 2007年09月号掲載)

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