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今や広告写真において、デジタルによる画像処理は、必要不可欠なものになったと言っていいだろう。それにともなって、「デジタルレタッチ」という新たな職種が生まれた。
2005年、「デジモ」という会社を立ち上げ、独立して仕事を始めたデジタルクリエイターの宮本准さんは、まだ31歳という若さだが、画像処理の経験は、すでに10年以上だ。
「大学ではプロダクトデザインの勉強をしていました。そこでMacを使っていたことから、博報堂フォトクリエイティブ(HPC 現・博報堂プロダクツ)でアルバイトを始めたのがきっかけでした」。
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当時はまだマシンの性能もまだまだで、いかにデータを軽くするか、処理時間を短くできるか、ということが仕事上の重要な課題。表現の幅も広くはなかった。
「この仕事を始めてみたら、大学で勉強していることよりも面白くて、自分に合っている気がしました。結局、就職試験はHPCしか受けず、入社しました」。
HPC時代に、優秀なクリエイターと一緒に仕事をしたことに、大きな影響を受けたと宮本さんは語る。
「アートディレクターとの共同作業でイメージを仕上げながら、そこに自分の表現も生かしていける。それがこの仕事の一番の魅力です」。
現在、仕事の大半は広告。博報堂との仕事も多い。宮本さんと10年以上一緒に仕事をしているという博報堂の後智仁アートディレクターは、「宮本くんは、僕の趣味を把握しているんだと思います。僕が雰囲気みたいなディレクションをしてもニヤッと笑って『わかりました!』と言って、いつもきちんと僕のイメージを形にしてくれます。ADにとってスタッフが同じ感覚をもっていてくれることはすごく重要なことだと僕は考えています。技術はもちろん、彼のその絵を感じ取る感覚にはいつも助けてもらっています」と語る。
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この10年間で、広告写真を取り巻く状況は大きく変わってきた。広告写真の中での宮本さんの仕事も比率も、確実に増えてきている。
今は、むしろ「一発撮りでいく」ということそのものが、企画になってしまうくらいなのだという。
マシンの性能も、処理スピードも、年々上がっていく。デジタルカメラが使われるケースも増えてきた。しかし、どんなに手法は変わっても、求められるものは、アートディレクターやフォトグラファーの頭の中にある絵を、いかに作り上げるか。
「ぼくの場合、ちょっとギャグっぽいというか、遊び心のある依頼が多いですね。画像処理でこんなこともできるのか! と見た人をびっくりさせたりとか、あるいはまったく画像処理に気づかせないとか。ぼく自身も、大まかなアイデア段階から一緒にスタートできる仕事にはやりがいを感じるし、そういう時に、プラスアルファを期待されるようでありたいと考えています」。
宮本さんの理解力と仕上げに大きな信頼をおいているというのは、螢光TOKYOの手島領氏。
「たいていは、撮影した素材を見ながらミーティングして、作品の意図とかイメージを共有してから作業してもらいます。その上でニュアンスが違う部分を補正しながらフィニッシュする。また撮影に入る前に、どういった素材なら仕上がりでいい感じになるかを相談することもあります。
自分がお願いしたこと以上に見栄えが良くなって上がってくる、つまり、オーダーに対してきちんと理解して、さらにアレンジできるクリエイターです。絵心を大切に作ってもらいたいから、今後もお願いします」。
今後は広告以外の分野でも、優秀なクリエイターと仕事をしたいという宮本氏。
「画像処理は、これで完成という終わりのない仕事だからこそ、自分の仕事に満足するハードルは、常に高く持っていたいですね」。
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(コマーシャル・フォト 2006年06月号掲載)
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