旅の鉄道ムービー

2011.03.16

鉄道ムービーの愉しみ「ホワイトバランスの基本」2011年4月号

ホワイトバランスの基本

露出とともにムービーで重要なのがホワイトバランス(以下WB)の設定です。WBはカメラの色設定を光源の色温度に合わせる機能で、白い被写体を白く撮影することができます。従来はビデオ特有の機能でしたが、現在ではデジタルスチルカメラにも付いています。設定方法は主に以下の種類があります。

冬の午後3時頃に太陽光モードで撮影。夕日の時間にはまだ早いのですが、冬の晴れらしい赤みが出ています。このまま雰囲気を出すか、ホワイトバランスを調整して新幹線の白を強調するか考えながら画作りをしたいものです。


オートホワイトバランス(AWB)

画像の中の白い部分を推測して、その部分が白くなるように自動設定します。基本的には使いやすいのですが、例えば白色蛍光灯の色と夕暮れの緑色がひじょうに似ているために緑の補色のマゼンタに引き込まれてしまうなど、誤作動することもあります。特に薄暗い時の撮影では、ヘッドライトや通車両の色などの影響で1シーンの中でWBが変化してしまうこともあります。逆に明るい場合は、ほぼ太陽光の標準値に設定してくれるので、日中はAWBでも問題はありません。また屋内から屋外に連続して撮影する場合など、シーンの中で光源が変化する時の追従にはAWBは便利です。

AWBを基本設定とする場合は、朝夕など必要以上に色の補正をしてしまう時間帯や、望まない変化をしてしまう時だけは他の設定に切り替えると良いでしょう。


マニュアルホワイトバランス(MWB)

光源の光が当たったグレイボード、チャート、白い紙をカメラのMWB機能を使って計測します。被写体の色を比較的正確に再現できます。特に曇りや雨の日など、見た目以上に青く写ってしまう時に有効です。当然ですが、MWBに設定しておけば列車通過で色が変化することもないので、不自然な画像になることもありません。

MWB.jpg

紙に印刷された、もしくはキャリブレーションが取れているパソコンモニターに表示されたチャートやグレイボードを使ってマニュアルホワイトバランスを調整します。ちなみにカメラはXF305です。


プリセット

コンパクト系のカメラでは、太陽光(晴れ)の他、曇り、日陰、蛍光灯などの設定が付いていて、MWBがとりにくい場合などに便利に使えます。鉄道映像で最もよく使うのは、ハイエンドカメラにも付いている太陽光設定で、春から夏の晴れた昼頃の光源に合わせてあるので、ほとんどの日中撮影はこれで問題ありません。

朝夕と冬の日中は基準に比べて光源が赤く、澄んだ秋の日中や雨、雪の日などは青い光です。季節や時間の雰囲気を出すには、WB設定で被写体の色を正しく再現するよりも、太陽光設定のほうが有効な場合が多いです。

preset.jpgコンパクトカメラのプリセット(キヤノンIXY 50S)。家庭用ビデオカメラやアマチュア向けデジタル一眼カメラにもついており、たいていはこれで事足りる。











色温度設定

一部のハイエンドカメラにある機能で、色温度を直接入力することができます。カメラの他に高価なカラーメーターも必要ですが、雨で画像が青すぎる時に青みを少し残したい場合などに有効で、個人的にはもっとも思い通りに設定できる機能だと思います。

WBは編集時でも調整することができます。ただ、現地で正しく設定したようにはいかず、数多いシーンの対応には時間がかかります。やはり現地で被写体を見たときの気持ちで設定したいものです。 
老婆心ながら、WBの設定をいろいろ始めると、設定ミスで失敗することもあります。プリセットの太陽光かAWBに自分の基本設定を決めて、その他のモードで撮影した後は必ず基本設定に戻す習慣をつけたほうが安心です。


【晴れ】

sunny.jpg

【曇り】

cloudy.jpg

同じ撮影ポイントでほぼ同じ時間に撮影した映像。太陽光が差し込んだときと曇った時ではこれだけ色が変わります。



ホワイトバランス設定で色調整

WB02.jpg

雨が降り始めた時の撮影です。太陽光モードでは青すぎる印象です。


WB01.jpg

マニュアルホワイトバランスで色調整することで自然な色合いの画像になります。


◎次回は具体的なホワイトバランスの設定方法です。



今月のお奨め路線 中央本線

中央本線は東京駅から長野県の塩尻駅を経由して愛知県の名古屋駅を結ぶ幹線です。このうち、特急あずさやスーパーあずさが走るJR東日本の区間を中央東線と呼ぶこともあります。中央東線は甲府を過ぎると標高の高い区間を走り、車窓からは南アルプスや八ヶ岳が望める山岳路線です。ぶどうや桃で知られる甲府盆地では、桃の花が4月上旬から咲き始めます。今回の撮影ポイント・新府駅近くの丘では、甲府より標高が高いために開花はやや遅めで、例年4月15日頃からが見頃になります。バックの山は八ヶ岳です。年によってはギリギリ残雪を見ることもできます。桃の花は満開になるとすぐ、受粉と摘花の作業をされて花の数が半分以下に減ってしまいます。開花の時期を予測して早めに撮影に行くのがポイントです。

▲新府~穴山


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【筆者プロフィール】佐々倉 実

tetsu_02.jpg

鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年7月に『感動の美景鉄道』(MAXAM)が発売された。
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